賃貸の壁に穴を開けないでポスターを飾るなら、100均のクリップや突っ張り棒、壁紙対応の粘着フックなどを使う方法がある。小さなアートなら棚に立てかけてもいいし、ニンジャピンのように穴を目立ちにくくするアイテムも選択肢になる。
ただし、ここでひとつ、知っておきたいことがある。
賃貸の壁は、穴さえ開けなければ安心というわけではない。
むしろ厄介なのは、穴を開けたくない一心で貼った両面テープが、壁紙をごっそり持っていってしまうケースだ。
「貼ってはがせる」と書かれていたのに、はがしたら壁紙までついてきた。穴はひとつもないのに、退去時には修繕費の心配をすることに……。
これでは何のために穴を避けたのか分からない。
しかも意外なことに、国土交通省の原状回復ガイドラインでは、通常の使い方による画鋲やピンの小さな穴は、一般的に貸主負担と考えられている。もちろん、穴の大きさや契約内容によって判断は変わるけれど、「穴がある=敷金から引かれる」と単純に決まるわけではないのだ。
だったら、本当に気にするべきなのは何だろう?
この記事では、賃貸の壁を傷つけにくいポスターの飾り方を、100均グッズ、マスキングテープ、ニンジャピン、突っ張りパーツなどから比較。さらに、壁に穴を開けずにアートや棚を飾る方法、壁紙を傷めやすいNG例、退去時の原状回復で気をつけたいポイントまで紹介する。
目指すのは、単なる「穴を開けない裏技集」ではない。
引っ越す日に後悔せず、今日から好きなものを飾れる部屋づくり。
壁に穴を開けない方法を探していた人こそ、ぜひ知っておいてほしい話だ。
賃貸でもできる、壁を傷つけにくい飾り方。100均グッズからニンジャピン、穴を開けない棚づくりまで。
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賃貸暮らしをしていると、壁が妙に神聖なものに思えてくる。
床にはラグを敷ける。窓にはカーテンをつけられる。机もソファも好きなものを選べる。
なのに、壁だけは別格だ。
お気に入りの映画のポスターを飾りたい。旅行先で買ったポストカードを並べたい。小さな棚をつけて、かわいい雑貨を置きたい。
そんなささやかな願いに、あの恐ろしい言葉が立ちはだかる。
「原状回復」
げんじょうかいふく。なんだか強力な魔法の名前みたいだが、賃貸住宅では笑えない。
壁紙を破ってしまったら? 画鋲の穴が残ったら? 退去するときに敷金から修繕費を引かれたら?
考えはじめると、ポスターを持った手が止まる。
でも、だからといって何も飾らないのはもったいない。
じつは、壁に穴を開けずにポスターを飾る方法はいくつもある。100均で手に入るアイテムを使う手もあれば、壁に直接触れずに棚をつくる方法だってある。
ただし、ここには意外な落とし穴がある。
「穴を開けない=壁を傷つけない」ではないのだ。
粘着テープで壁紙をはがしてしまうくらいなら、小さなピン穴のほうがトラブルになりにくいこともある。
今回は、賃貸でも部屋を好きなように飾りたい人に向けて、ポスターの貼り方から壁掛けアート、棚づくりまで、現実的な方法を考えてみたい。
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そもそも賃貸の壁に画鋲を刺したらアウトなの?
ここで、ちょっと意外な話をしよう。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の暮らしで生じる傷みと、借主の不注意などによる傷みを区別している。
ポスターやカレンダーを飾るための通常の画鋲・ピン穴は、一般的に通常損耗として貸主負担と考えられている。一方、下地ボードの張り替えが必要になるような釘穴やネジ穴は、借主負担とされやすい。
つまり、画鋲を一本刺しただけで即アウト、というわけではない。
ただし、穴の数や大きさ、壁の状態、賃貸借契約の内容などによって判断は変わる。小さい穴なら何個開けてもOKという意味ではないし、原状回復の費用を絶対に請求されないという保証もない。
ここは覚えておきたい。
退去時のトラブルを避けたいなら、穴の大きさだけでなく、壁紙そのものを傷めないことが大切。
そのうえで、飾り方を選んでいこう。
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100均でできる! ポスターを飾る小さなアイデア
マスキングテープは便利。でも、万能ではない
ポスターを気軽に飾りたいなら、真っ先に思いつくのがマスキングテープだろう。
100均にも色や柄のバリエーションが豊富にあるし、額縁なしでポスターを貼れば、ちょっとしたギャラリーみたいな雰囲気になる。
たとえば、ポスターの四隅にテープを貼る。わざとテープを見せる。色をそろえて何枚か並べる。
これだけでも、ただの白い壁がずいぶん楽しくなる。
しかし、マスキングテープには弱点もある。長期間貼りっぱなしにすると、のりが残ったり、壁紙が変色したり、はがすときに表面を傷めたりする可能性があるのだ。
特に古い壁紙や紙製の壁紙には注意したい。
「マステだから安心!」と勢いよくベリッとはがすのは、あまりおすすめできない。
壁紙に直接貼る場合は、目立たない場所で材質との相性を確かめ、長期使用を避けるなど慎重に扱おう。そもそもメーカーが壁紙への使用を認めていない製品なら使わないほうがいい。
クリップとひもを使えば、壁に貼らずに飾れる
個人的に好きなのは、ポスターやポストカードをクリップで吊るすスタイル。
小さな木製クリップ、ひも、細い突っ張り棒などを組み合わせて、窓枠の内側や既存の棚の間に飾る。
ポストカードを横一列に並べてもいいし、何枚かの写真をランダムに吊るしてもかわいい。
この方法のいいところは、飾るものを気軽に入れ替えられること。
季節が変わったら写真を替える。新しい映画を観たらポスターを替える。気分が落ち込んだら猫の写真を増やす。
猫は何枚あっても困らない。
もちろん、突っ張り棒を設置する場所の強度や耐荷重は確認する必要があるし、接触面に圧迫跡が残る可能性もある。
それでも、壁紙に何かを直接貼る必要がないのは魅力だ。
透明な粘着グッズには要注意
100均で見かける粘着タックや透明な両面テープ。「きれいにはがせる」と書かれていると、つい試したくなる。
ところが、壁紙はなかなかデリケートだ。
表面がツルツルの壁と、凹凸のあるビニールクロスでは、同じテープでも結果が違ってくる。
実際、3Mの一般的な「コマンド タブ」はポスターの掲示に使える製品だが、通常タイプは壁紙への使用が認められていない。壁紙には対応する専用品を選ぶ必要がある。
「きれいにはがせる」の文字だけを信じると、退去するときにちょっと泣くことになるかもしれない。
製品の対応素材を確認すること。これだけは横着しないほうがいい。
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ニンジャピンという、穴を目立たせない選択
12個入り・公式掲載価格1,100円(税込)。針の断面がV字型になっていて、一般的な丸い画鋲より穴が目立ちにくい設計だ。
向いているもの:軽いポスター、ポストカード、写真など
なんとも頼もしい名前だ。ニンジャピン。
忍者が壁に張りつくための道具ではない。
針の断面をV字型にすることで、抜いたあとに残る穴を目立ちにくくした画鋲である。
普通の画鋲は丸い穴が残る。一方、ニンジャピンは壁紙の凹凸になじみやすい、小さな跡を残す仕組みだ。
とはいえ、名前が忍者でも完全に姿を消せるわけではない。
ニンジャピンは「穴を開けないアイテム」ではなく、「開けた穴を目立たせにくいアイテム」だ。
壁紙の種類によって跡の目立ち方は変わるし、刺し直しをくり返せば壁への負担も増える。壁にピンを刺すこと自体を避けたい場合は、別の方法を選ぼう。
それでも、テープの粘着剤で壁紙を傷めるリスクを避けながら、軽いポスターを飾りたい人には検討しやすい道具だと思う。
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壁に棚をつくりたいなら、「壁の前」に柱を立てよう
お気に入りのフィギュアを並べたい。小さな観葉植物を置きたい。雑貨屋さんみたいな飾り棚がほしい。
しかし、棚となると話は変わってくる。
重さがある。落下の心配もある。壁にネジで固定しようものなら、原状回復のことが頭をよぎる。
そこで登場するのが、LABRICO(ラブリコ)2×4アジャスターだ。
仕組みは、なかなか大胆。
市販の2×4材という木材に専用パーツを取りつけ、床と天井の間で突っ張って柱を立てる。
壁に穴を開けるのではなく、壁の手前に新しい柱をつくってしまうのである。
なるほど。その手があったか。
柱に棚板を取りつけたり、有孔ボードを固定したりすれば、自分だけのディスプレイスペースができあがる。
しかも引っ越しのときは取り外せる。
ただし、床と天井に圧力がかかるため、設置場所の強度には注意が必要だ。メーカーも、下地の弱い天井では破損や転倒のおそれがあると案内している。設置条件と耐荷重を守り、無理に締めつけないことが大切だ。
100均DIYより費用も手間もかかるが、部屋の雰囲気を大きく変えたい人には魅力的な方法だと思う。
棚にお気に入りの本を並べて、その上に小さなアートを置く。
夜になったら照明をつけて、ちょっといいコーヒーを飲む。
そこはもう、ただの賃貸アパートではない。自分のための小さなギャラリーだ。
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結局どれがいい? 壁を傷つけにくい飾り方を比べてみた
ここまでいろいろな道具が登場したので、特徴を整理してみよう。
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飾り方 |
壁に穴 |
気をつけたいこと |
|---|---|---|
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マスキングテープ |
なし |
壁紙のはがれ、のり残り |
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粘着タック・両面テープ |
なし |
対応素材、変色、粘着跡 |
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ニンジャピン |
小さな穴あり |
ピン穴、刺し直し |
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クリップ+突っ張り棒 |
なし |
設置面の圧迫跡、落下 |
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ラブリコ+木材 |
壁にはなし |
天井・床の強度、転倒 |
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自立式の棚・フレーム |
なし |
転倒、床の傷 |
※傷や汚れが残らないことを保証する比較ではない。使う壁材や設置条件によって結果は異なる。
僕なら、ポストカードや薄いポスターは、なるべく壁に触れないディスプレイから考える。
壁面に直接飾りたいなら、対応する壁紙用アイテムを慎重に選ぶ。穴を開けてもよい契約条件なら、ニンジャピンも候補になる。
本格的に棚を設置したい場合は、ラブリコや自立式の家具のほうが現実的だろう。
結局のところ、ひとつの道具ですべて解決しようとしないほうがいい。
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退去するとき、ポスターより怖いもの
ここで、未来の自分について考えてみる。
数年後、引っ越しが決まった。
部屋の荷物を片づけ、家具を運び出し、壁に飾っていたポスターを一枚ずつ取り外していく。
そのとき、壁紙がビリッと破れたら。
……想像するだけで悲しい。
退去直前に慌てないためにも、飾る前にできることがある。
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賃貸借契約書の禁止事項や原状回復に関する特約を確認する。
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壁紙の素材と、使用する製品の対応素材を確認する。
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入居時の壁の状態を写真に残しておく。
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重い額縁や棚を無理な方法で固定しない。
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壁紙が破れたり大きく傷んだりしたら、自己判断で補修せず管理会社に相談する。
特に気をつけたいのが、「穴を隠せばバレないだろう」という発想だ。
小さな傷を勝手に補修した結果、色や質感が周囲と合わなくなって、かえって目立つこともある。
原状回復で大事なのは、何が何でも新品同様に戻すことではない。
通常の使用による損耗や経年変化は、基本的に借主が負担するものではないという考え方がある。ただし、実際の費用負担は損傷の原因や契約内容などを踏まえて判断される。
心配なことがあれば、先に管理会社へ確認しておくのがいちばん確実だ。
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白い壁は、白いままじゃなくていい
部屋づくりって、なかなか不思議だ。
同じ間取り。同じ白い壁。同じようなフローリング。
それなのに、住む人が変わればまったく違う空間になる。
好きな映画のポスターが一枚あるだけで、その人の趣味が伝わってくる。
旅先の写真が飾ってあれば、どんな場所に行ったのか想像できる。
棚に並んだ小さな雑貨には、ひとつひとつ思い出があるのかもしれない。
家というのは、ただ寝て起きるための箱ではない。
自分の好きなものに囲まれて、ちょっと機嫌よく暮らすための場所でもある。
もちろん、賃貸住宅だからこそ守らなければいけないルールはある。壁を傷つけない工夫も、退去時のことを考えるのも大切だ。
でも、だからといって全部あきらめる必要はない。
100均のクリップひとつでも、飾り方は変えられる。ニンジャピン一本で、お気に入りのポスターを飾れるかもしれない。突っ張りパーツを使えば、小さな棚だって夢ではない。
大がかりなDIYをしなくてもいいし、高価なインテリアを買う必要もない。
壁に穴を開けなくても、暮らしにちょっとした風穴は開けられる。
せっかくの自分の部屋だ。
退去の日まで、真っ白なまま眺めているのは、少しもったいないじゃないか。
賃貸だから、壁には何も飾れない。
そんなふうに思っていた人も、100均グッズや突っ張りパーツをうまく使えば、意外と自由に部屋づくりを楽しめる。
お気に入りのポスターを貼ったり、小さなアートを並べたり、雑貨を飾る棚をつくったり。壁に穴を開けなくても、できることはたくさんある。
ただし、忘れてはいけないのが、「穴を開けない=原状回復の心配がない」ではないということ。
マスキングテープや両面テープは、はがすときに壁紙を傷めることがある。一方、ニンジャピンのような小さなピン穴は、通常の使用による損耗として扱われる場合もある。
つまり、賃貸の壁を守るために大切なのは、穴を徹底的に避けることではなく、壁紙の素材やアイテムの特性、退去時のことまで考えて飾り方を選ぶことなのだ。
そして、もうひとつ。
賃貸だからといって、自分の「好き」まで遠慮する必要はない。
何も飾られていない真っ白な壁も悪くない。でも、好きな映画のポスターが一枚あるだけで、見慣れた部屋がちょっと特別な場所になる。
どうせいつか引っ越す部屋だから、何もしない。
そう考えるのは、少しもったいない。
退去するときの自分に迷惑をかけず、今ここで暮らしている自分を楽しませる。
そんな部屋づくりが、きっといちばん賢い。
壁には穴を開けなくていい。でも、部屋づくりの可能性まで閉じておく必要はない。
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参考資料
・国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
・3M コマンド製品 よくある質問
・KONCENT ニンジャピン公式商品情報
・平安伸銅工業 ラブリコ公式商品情報
※この記事は製品の公開情報をもとに構成しています。筆者による実使用レビューではありません。価格、仕様、使用条件は購入前に公式情報をご確認ください。
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