英語のシャドーイングを始めてみたものの、
「速すぎて、まったく口が追いつかない」
「聞きながら話すなんて無理」
「アプリまで入れたのに、3日でやらなくなった……」
そんな人は、シャドーイングに向いていないわけではありません。
最初から難しくやりすぎているだけかもしれません。
シャドーイングというと、「英語を聞いて、すぐ後ろから同じように発音する」というやり方が定番です。
でも、初心者がいきなり通常速度の英語を、テキストも見ずに追いかけようとすると、そりゃ大変です。英語を聞き取るだけでも忙しいのに、口まで働かせろと言われる。脳内は軽くブラック企業です。
だからこの記事では、よくある「シャドーイングの正しいやり方」をそのまま紹介しません。
0.8倍速にする。テキストを見る。30秒でやめる。
むしろ、ちゃんと手を抜きます。
英語のシャドーイングが続かない人に必要なのは、根性ではなく**「明日もアプリを開けるくらいまで難易度を下げること」**だからです。
シャドーイングで何度も挫折した人でも試しやすいように、初心者向けの練習ステップと、続けやすいアプリの選び方を紹介します。
「できるまで頑張る」ではなく、「続けられるところまで簡単にする」。
今回は、そんなシャドーイングの始め方です。
英語の音声が流れる。
「アイワナ……」
よし、追いかけるぞ。
「アイ……ワ……」
もう次の文章が来た。
待って。
速い。
速すぎる。
こっちはまだ「アイ」のあたりにいるのに、ネイティブはもう3駅くらい先へ行っている。
これが、僕が最初にシャドーイングをやったときの感想だった。
英語学習アプリを入れて、イヤホンをつけて、やる気だけは満タン。
なのに5分後には、
「これ、英語ができる人のための英語学習では?」
と思っていた。
でも、あとから気づいた。
シャドーイングが続かないのは、根性がないからとは限らない。最初の設定がハードモードすぎるのだ。
|
|
そもそもシャドーイング、やることが多すぎる
シャドーイングは、流れてくる英語を聞きながら、少し遅れて同じように発音する練習だ。
文字だけ見ると簡単そう。
ところが実際には、
「聞く」
「音を覚える」
「口を動かす」
「次の音も聞く」
みたいな作業が、ほぼ同時にやってくる。
脳内が急に忙しい。
関西学院大学の第二言語習得研究センターでも、シャドーイングでは複数の処理をほぼ同時並行で行うと説明されている。リスニング練習の素材についても、文字ならすぐ意味が分かる程度の難易度がすすめられている。
だったら初心者が最初から通常速度・台本なしで挑んで、
「全然できない……」
となるのも当然だと思う。
だから僕なら、もっとズルをする。
いや、ズルじゃない。
難易度を下げる。
|
|
0.8倍速まで落としてしまう
ネイティブ音声についていけないなら、速度を落とす。
これだけ。
0.8倍でもいい。
それでも速ければ、もっと遅くてもいい。
「でも、それじゃ本物の英語についていけないのでは?」
と思うかもしれない。
大丈夫。
いま戦う相手はネイティブではない。
三日坊主だ。
速すぎる音声の場合、再生速度を落とす方法は第二言語習得研究センターでも紹介されている。
0.8倍で口がついてくるようになったら、0.9倍へ。
慣れたら1.0倍へ。
ゲームだって最初からラスボスとは戦わない。
英語だけ、なぜか僕らはラスボスから始めようとする。
|
|
テキストは見ていい。むしろ見る
僕がもうひとつ捨てたいのが、
「シャドーイングなんだから文字を見ちゃダメ」
という謎のストイック精神だ。
最終的に文字なしでできるようになればいい。
最初は台本を見よう。
音声を流しながら、
「あ、ここはこの単語だったのか」
「この2語、くっついて聞こえるな」
と確認する。
意味の分からない単語も先につぶしておく。
そのあと音声と一緒に読んでみる。
口が慣れてきたところで、ようやく文字を隠す。
初心者向けのシャドーイング解説でも、スクリプトで意味を確認してから音声を聞き、音読やオーバーラッピングを経てシャドーイングへ進む方法が紹介されている。
つまり、
いきなりシャドーイングしなくていい。
ここがかなり大事だ。
|
|
30秒できたら今日は勝ち
そして、長くやらない。
これも重要。
「英語を勉強するぞ!」
となると、なぜか30分とか1時間とか確保したくなる。
やめよう。
シャドーイングに関しては、最初は短い英語でいい。
アプリで短い会話をひとつ選ぶ。
今日はこの数文だけ。
終わり。
「え、もう?」
くらいで終わらせる。
明日も同じところをやる。
昨日よりちょっと口が動く。
その小さな変化のほうが、「毎日30分」という立派すぎる目標よりずっと気持ちいい。
研究発表でも、シャドーイングの反復によって再生率が向上し、一定回数で頭打ちになるという先行研究が紹介されている。
一度で完璧に言おうとしなくていい。
同じ英文を何度も使えばいいのだ。
|
|
アプリ選びは「教材の多さ」より「逃げ道の多さ」
シャドーイング用の英語アプリを選ぶときも、僕なら教材数だけでは選ばない。
見るのは、
速度を変えられるか。
英文を表示できるか。
短い区間を繰り返せるか。
録音して自分の声を確認できるか。
このあたり。
要するに「できないときに難易度を下げられるか」だ。
スロー再生や一文ごとのループ、同期テキスト、発音フィードバックなどを備えるシャドーイング系アプリも現在は存在する。
高機能である必要はない。
毎日開けるほうが重要だ。
|
|
「できなかった英語」が「言えた英語」に変わる
僕がシャドーイングでいちばん面白いと思う瞬間は、ペラペラになった瞬間ではない。
昨日まで、
「ア……ウェ……なんて?」
だった文章が、
翌日にはなんとなく口から出てくる。
あの瞬間だ。
たった一文なのに、ちょっと嬉しい。
シャドーイングについてはリスニングや音声処理への効果を検討した研究もあり、万能な魔法とまでは言えないものの、英語の音を処理するトレーニングとして研究されてきた学習法ではある。
だから、できないからといって捨ててしまうのは少しもったいない。
速度を落とす。
文字を見る。
短くする。
同じ英文を繰り返す。
それでいい。
シャドーイングが続かなかった人ほど、もう一度やるなら「ちゃんとやろう」としないほうがいい。
0.8倍速で、台本を見ながら、たった30秒。
そこから始めればいい。
英語は逃げない。
逃げるのは、だいたい僕らのやる気のほうだから。
|
|
まとめ|シャドーイングは、うまくやるより続くやり方で
シャドーイングが続かないと、
「自分には英語の才能がないのかも」
なんて思ってしまいます。
でも、そんな大げさな話じゃありません。
音声が速いなら、0.8倍速にする。
聞き取れないなら、テキストを見る。
口が追いつかないなら、先に音読する。
10分がしんどいなら、30秒で終わる。
できない自分を変えるより、できる難易度までシャドーイングを変えてしまえばいい。
英語学習アプリだって、毎日すべての機能を使いこなす必要はありません。短い英文をひとつ選んで、昨日より少しだけ言えるようになれば、それで十分です。
シャドーイングは、苦行ではありません。
ネイティブの英語に必死で食らいついて、毎晩ヘトヘトになるためのトレーニングでもありません。
大切なのは、今日だけ完璧にできることより、明日もイヤホンをつけられること。
もし以前シャドーイングに挫折したなら、今度はちゃんとやろうとしなくていい。
アプリを開く。
0.8倍速にする。
テキストを出す。
そして、たった30秒だけ声に出してみる。
それで今日は合格です。
英語は逃げません。
だから僕らも、全力で追いかけなくていいんです。
|
|
コメント Comments
コメント一覧
コメントはありません。
トラックバックURL
https://komidone.com/526.html/trackback